大阪・北堀江のUNI CLINIC(ユニクリニック)、院長の大嶋です。
当院では、美容皮膚科と美容内科の両面から、肌や身体のお悩みにアプローチしています。
外側からの美容施術と、分子栄養学を活かした内側からのケアを組み合わせ、一人ひとりに合った治療をご提案しています。
少しバタバタしており更新が滞っていました。
今日は朝起きづらい方々へ、栄養で改善できる可能性があるんだよ!というコラムです。
はじめに

「しっかり寝たはずなのに朝起きられない」
「目覚ましが鳴っても体が動かない」
「起きても午前中ずっと頭がぼーっとする」
そんなお悩みはありませんか?
睡眠不足やストレス、生活リズムの乱れなど原因はさまざまですが、実は体の栄養状態が関係していることもあります。
今回は、朝の目覚めや身体のだるさと関係する栄養のポイントを解説します。
1. 鉄不足 ― 貧血がなくても「なんとなくだるい」ことがあります

鉄というと、「貧血に必要な栄養素」というイメージが強いかもしれません。
しかし鉄は、赤血球をつくるだけではなく、細胞内でエネルギーを産生する際にも重要な役割を担っています。
そのため、血液検査でヘモグロビンが正常で「貧血ではない」と言われていても、体内に蓄えている鉄を示すフェリチンが低下している状態では、
・朝から身体が重い
・疲れが取れない
・集中力が続かない
・運動するとすぐ疲れる
といった症状がみられることがあります。
実際、貧血のない女性を対象としたランダム化比較試験では、鉄を補充したグループで疲労感が改善したことが報告されています。
特にフェリチンが低値~境界域の方では、鉄不足が疲労の一因になっている可能性があります。[1][2]
ただし、鉄は多ければ多いほどよい栄養素ではありません。過剰な鉄は身体に負担になるため、自己判断での長期間の鉄サプリメント摂取ではなく、血液検査で状態を確認することが大切です。
2. メラトニンがうまく分泌されていない ― 「睡眠の材料」が不足しているかも

私たちの身体には、夜になると眠くなり、朝になると目覚める「体内時計」があります。
このリズムに重要なのが、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンです。
メラトニンは、
トリプトファン → セロトニン → メラトニン
という流れで体内でつくられます。
トリプトファンは必須アミノ酸のため、食事から摂取する必要があります。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などのタンパク質食品に多く含まれています。
また、これらの代謝にはビタミンB群などの栄養素も関わっています。
つまり、「夜眠くなる」という現象にも、単に睡眠時間だけではなく、日中にどのような栄養を摂取しているかが関係している可能性があります。
ただし、メラトニン分泌に最も大きく影響するのは光と生活リズムです。
朝に日光を浴びること、夜間の強い照明やスマートフォンの光を減らすこと、毎日の起床時間をなるべく一定にすることも非常に重要です。
栄養だけを整えるのではなく、
「朝は光を浴びる」
「昼間はしっかり活動する」
「タンパク質をきちんと摂る」
「夜は強い光を避ける」
という一日のリズムを意識してみましょう。
メラトニンについては過去ブログもチェックしてください!
3. 糖質中心の食生活 ― 血糖値の乱高下が「だるさ」をつくることも

「甘いものを食べると元気になる」
確かに糖質は、身体にとって重要なエネルギー源です。
問題になるのは、糖質そのものではなく、
・菓子パンだけ
・ジュースや甘いカフェラテ
・お菓子を頻繁に食べる
・麺や白米だけで食事を済ませる
といった、精製された糖質に偏った食生活です。
糖質の多い食事では血糖値が急激に上昇し、それに反応してインスリンが分泌されます。
人によっては、その後血糖値が大きく低下することで、
・眠気
・身体のだるさ
・集中力低下
・空腹感
・甘いものが欲しくなる
といった症状につながることがあります。
実際、食後2~5時間程度で低血糖を起こす「反応性低血糖」という病態も知られています。[3]
また、大規模な観察研究では、高GI食品や精製された穀物、添加糖の摂取量が多い食生活ほど、不眠との関連が強かったという報告もあります。[4]
「糖質を抜く」という意味ではありません。
糖質を摂るときには、
タンパク質+野菜・食物繊維+適量の脂質+糖質
という組み合わせにすることで、血糖値が急激に変動しにくい食事を意識することが大切です。
4. ビタミンB群 ― エネルギーをつくるためのサポート役

食事から摂った糖質や脂質、タンパク質は、そのままでは身体のエネルギーとして利用できません。
細胞内で代謝され、「ATP」というエネルギーに変換されることで、私たちは身体を動かすことができます。
その過程に深く関わっているのがビタミンB群です。
特に、
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ナイアシン
・ビタミンB6
・葉酸
・ビタミンB12
などは、エネルギー代謝や神経機能に関与しています。
外食が多い、加工食品が多い、アルコールをよく飲む、食事量そのものが少ない、といった方では栄養バランスが偏っているケースもあります。
「食べているのにエネルギーをうまくつくれていない」という視点も、美容内科では大切にしています。
5. マグネシウム ― 睡眠の質にも関係するミネラル

もう一つチェックしたいのがマグネシウムです。
マグネシウムは数多くの酵素反応に関わっており、神経や筋肉の機能、エネルギー産生にも必要なミネラルです。
睡眠との関連についても研究されており、高齢者を対象とした小規模なランダム化比較試験では、マグネシウム摂取によって睡眠効率や入眠までの時間、メラトニン濃度などが改善したという報告があります。[5]
ただし、「マグネシウムを飲めば朝起きられる」という意味ではありません。
不足している人の栄養状態を整える、という考え方が重要です。
最後に
「朝起きられない」は、身体からのサインかもしれません
朝起きられない原因は一つではありません。
睡眠時間、ストレス、運動不足、夜間のスマートフォンなどの生活習慣に加えて、
鉄・タンパク質・ビタミンB群・マグネシウム・ビタミンD、そして血糖コントロール
といった栄養状態も、一度見直してみる価値があります。
特に、
「たくさん寝ても疲れが取れない」
「朝だけでなく一日中だるい」
「食後に強烈に眠くなる」
「甘いものを頻繁に欲する」
という方では、血液検査などから身体の状態を確認してみるのも一つです。
当院の美容内科では、単に一つの栄養素だけを見るのではなく、血液検査をもとに栄養状態やエネルギー代謝、血糖状態などを総合的に評価しています。
毎朝の「起きられない」を当たり前にせず、身体の内側から一度見直してみてはいかがでしょうか。
参考文献
- Verdon F, et al. Iron supplementation for unexplained fatigue in non-anaemic women: double blind randomised placebo controlled trial. BMJ. 2003;326:1124.
- Vaucher P, et al. Effect of iron supplementation on fatigue in nonanemic menstruating women with low ferritin: a randomized controlled trial. CMAJ. 2012;184:1247-1254.
- Altuntaş Y. Postprandial Reactive Hypoglycemia. Sisli Etfal Hastan Tip Bul. 2019.
- Gangwisch JE, et al. High glycemic index and glycemic load diets as risk factors for insomnia: analyses from the Women’s Health Initiative. Am J Clin Nutr. 2020;111:429-439.
- Abbasi B, et al. The effect of magnesium supplementation on primary insomnia in elderly: A double-blind placebo-controlled clinical trial. J Res Med Sci. 2012;17:1161-1169.