【美容内科×美容皮膚科コンビネーションを用いて、美しさのポテンシャルを引き出す】
大阪・北堀江のUNI CLINIC(ユニクリニック)、院長の大嶋です。
当院では、美容皮膚科と美容内科の両面から、肌や身体のお悩みにアプローチしています。
外側からの美容施術と、分子栄養学を活かした内側からのケアを組み合わせ、一人ひとりに合った治療をご提案しています。
はじめに

近年、体重管理のために注目を集めている「マンジャロ」。本来糖尿病の患者様に使用する製剤であることは周知の事実でしょう。
しかし、最近では自由診療で痩身目的に使用する方も増えているのもまた事実。
当院では適応を見定め、血液検査も施行しながら安全に使用しています。マンジャロを使用しながらも色々と考えることがあったので、今日はマンジャロと栄養についてお話します。
マンジャロは食欲を抑える作用などによって体重減少をもたらす薬剤ですが、一方で「痩せたのに顔がこけて見える」「肌のハリがなくなった気がする」「髪が抜けやすくなった」といった変化が気になる方もいるのではないでしょうか。
体重が減ることと、美しく痩せることは必ずしも同じではありません。
今回は、いわゆる「マンジャロやせ」によって見た目が変化する理由と、美容面から考えたい栄養管理について解説します。
1. マンジャロで体重が減る仕組み

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、GIPとGLP-1という2つのホルモンの受容体に作用する薬剤です。
血糖値を調節する働きに加え、食欲を抑え、食事の摂取量を減らすことで体重減少につながります。
しかし、ここで知っておきたいのが、減少するのは体脂肪だけではないということです。
2025年に報告されたSURMOUNT-1試験の体組成解析では、チルゼパチドによって減少した体重のうち、約75%が脂肪量、約25%が除脂肪量だったと報告されています。
除脂肪量とは筋肉や水分などを含む成分であり、減少した25%がすべて筋肉という意味ではありません。ただし、急激な体重減少では筋肉量の維持にも注意が必要です。
2. なぜ「マンジャロやせ」で老けて見えることがあるのか?

その理由は、大きく2つ考えられます。
- ① 顔の脂肪が減少すること
顔の皮下脂肪には、頬の丸みや輪郭を支える役割があります。
体重減少に伴って顔の脂肪が減ると、頬がこけたり、ほうれい線やたるみが目立ちやすくなったりする場合があります。
これはマンジャロに特有の現象ではなく、急激な減量でも起こり得る変化です。
- ② 食事量の減少による栄養不足
マンジャロによって食欲が低下すると、食事量だけでなく、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの摂取量も減少する可能性があります。
これらの栄養素は、筋肉だけでなく、皮膚や毛髪の健康を維持するためにも必要です。
つまり、マンジャロによる減量では、シンプルに食事量が減るので、脂肪の減少に加えて、栄養不足が見た目の変化に影響する場合もあるのです。
3. 美しく痩せるために重要な栄養素

では、マンジャロ使用中にはどのような栄養素を意識すればよいのでしょうか。
- ① タンパク質:筋肉と肌の材料
最も優先して考えたいのがタンパク質です。
タンパク質は筋肉だけでなく、皮膚のコラーゲンや毛髪のケラチンなどを構成する重要な栄養素です。
体重が減少する際、タンパク質の摂取不足や運動不足が重なると、筋肉量が減少するリスクがあります。
筋肉量の維持は、健康的な体型を保つうえでも大切です。
減量中のタンパク質摂取量については、1日あたり体重1kgにつき1.2〜1.6g程度を目安とする考え方があります。ただし、肥満の程度や腎機能などによって適切な量は異なります。
- ② ビタミンC:肌のハリを支える栄養素
ビタミンCは、皮膚のハリや弾力を支えるコラーゲンの合成に欠かせない栄養素です。
コラーゲンが正常に作られるためには、ビタミンCが補助因子として重要になります。
また、ビタミンCには抗酸化作用があり、皮膚を酸化ストレスから守る働きもあります。
食事量が減り、果物や野菜を十分に摂取できていない場合には、ビタミンC不足に注意が必要です。
- ③ 亜鉛:肌と髪の健康維持
亜鉛は、タンパク質の合成や細胞の増殖に関わるミネラルです。
皮膚や毛髪は細胞の入れ替わりが活発な組織であるため、亜鉛はその健康維持に重要な役割を担っています。
亜鉛が不足すると、皮膚炎や脱毛、傷の治りにくさなどにつながることがあります。
急激な減量中に抜け毛が増える現象には、体重減少そのものによる身体的ストレスに加え、タンパク質や鉄、亜鉛などの不足が関与する場合があります。
- ④ 鉄・ビタミンB群:健康的な肌とエネルギー代謝を支える
鉄は赤血球中のヘモグロビンの構成成分として、全身への酸素運搬に関わっています。
鉄が不足すると、疲労感や息切れなどが現れるほか、脱毛に関係する場合もあります。
一方、ビタミンB群は、糖質・脂質・タンパク質からエネルギーを作る過程に必要な栄養素です。
特にビタミンB12や葉酸は、正常な赤血球の形成にも関わっています。
食事量が極端に少なくなると、こうした栄養素を十分に摂取できない可能性があります。
- ⑤ ビタミンD・カルシウム:筋肉と骨の健康を守る
減量中は、筋肉だけでなく骨の健康にも目を向ける必要があります。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、正常な骨の形成や筋機能の維持に関わっています。
また、カルシウムは骨や歯を構成する重要なミネラルです。
食事量が少なく、乳製品や魚などを十分に摂取できない場合には、これらの不足にも注意したいところです。
4. サプリメントはどう活用する?

マンジャロによる減量中は、食欲が低下するため、必要な栄養素を食事だけで確保することが難しくなる場合があります。
そのようなとき、サプリメントは栄養不足を補うことが重要なります。当院でもかならずそのようにご指導させていただいております。
例えば、タンパク質が不足している場合にはプロテイン、食事内容が偏っている場合には不足が疑われるビタミンやミネラルなど、食生活や栄養状態に応じて検討します。
ただし、サプリメントは食事の代わりになるものではありませんが、期間を決めて行うダイエットの強い味方になります。
また、すべての人に同じサプリメントが必要なわけではありません。
食事内容、減量のペース、体調、血液検査などを参考に、必要な栄養素を見極めることが重要です。マンジャロ使用前に当院のオーダーメイド栄養検査を行い、安全にダイエットできる環境を整えましょう。
サプリメントがしんどい方は点滴もいい選択肢の一つになります。栄養で身体を守りましょう!
5. まとめ:体重だけでなく、肌や筋肉にも目を向けた減量を

マンジャロは体重管理において高い効果が期待できる薬剤ですが、体重の数字だけに注目してしまうと、筋肉量の減少や栄養不足を見逃す可能性があります。
特に美容の観点では、体重を減らすことだけでなく、お肌や毛髪、筋肉の健康を維持することが一番大切です。
そのためには、十分なタンパク質を確保し、ビタミンやミネラルをバランスよく摂取すること。そして必要に応じてサプリメントを活用することが重要になります。
「ただ痩せる」のではなく、「健康的に、美しく痩せる」。
美容医療と栄養学の両方から身体を考えることが、理想的な減量への第一歩になるのではないでしょうか。
次回は「マンジャロをやめるとリバウンドする? 体重を維持するための栄養学」について解説します。
※マンジャロは日本では2型糖尿病治療薬として承認されています。肥満症治療には同成分のゼップバウンドが所定の条件下で承認されています。使用に際しては適応やリスクを医師と確認することが必要です。
参考文献
1. Look M, et al. Body composition changes during weight reduction with tirzepatide in the SURMOUNT-1 study. Diabetes Obes Metab. 2025.
PubMed
2. Mozaffarian D, et al. Nutritional priorities to support GLP-1 therapy for obesity: A joint advisory. Am J Clin Nutr. 2025.
PubMed
3. American Diabetes Association. Pharmacologic Treatment of Obesity in Adults: Standards of Care in Overweight and Obesity. 2026.
American Diabetes Association