【美容内科×美容皮膚科コンビネーションを用いて、本来の美しさのポテンシャルを引き出す】
大阪・北堀江の UNI CLINIC (ユニクリニック) 院長、大嶋です。
私たちは 美容皮膚科と美容内科 の両面からアプローチし、外側だけでなく、体の内側から本質的な美しさを引き出す治療を提供しています。
特に、分子栄養学を活かした美容内科アプローチ により、肌の健康を根本から支えることを大切にしています。
お一人おひとりの悩みに寄り添い、美容皮膚科施術と美容内科のバランスを丁寧にカウンセリングしながら、最適な治療プランをご提案させていただきます。
はじめに

スキンケアや美容医療に力を入れていても、「なかなか肌の調子が安定しない」「吹き出物が治ってもまた出てくる」――そんな経験、ありませんか?実はその原因、“腸”の状態にあるかもしれません。
腸は「第二の脳」と呼ばれていましたが、最近では「第一の脳」とも呼ばれるくらい全身の健康に深く関わる臓器です。最近では、「腸内環境が肌に影響を与える」というエビデンスがどんどん蓄積されてきています。その中でも、腸を整えるカギとなるのが食物繊維。
今回は、「食物繊維がどのように肌を支えているのか」を、美容内科、美容皮膚科的な視点からお伝えします。
1.食物繊維とは?

まず基本をおさらいしましょう。食物繊維とは、人の消化酵素では分解されず、小腸で吸収されにくい植物由来の炭水化物のこと。
大きく分けて、以下の2つのタイプがあります。
• 水溶性食物繊維(ペクチン、イヌリン、β-グルカンなど)
→ 腸内で発酵され、”短鎖脂肪酸(SCFA)”という有益な代謝物をつくります(腸活の最終目的です)。
• 不溶性食物繊維(セルロース、リグニンなど)
→ 腸の蠕動を促し、便通改善と老廃物排出をサポートします。
どちらもバランス良く摂ることが、腸の健やかな働きには欠かせません。
2.腸と肌はつながっている:「腸–皮膚相関」

腸内環境が乱れると、腸のバリア機能が低下し、炎症を引き起こす物質が全身に巡ります。
これをリーキーガット症候群といいます(過去コラムをご参考ください)。
その結果、肌の炎症やバリア機能の低下、ニキビ・赤み・かゆみなどのトラブルにつながることがわかっています。
一方で、「腸を整える=肌の土台を整える」という考え方が、科学的にも支持され始めています。
3.医学的エビデンスから見る「食物繊維と肌」

① 腸内で発酵 → 短鎖脂肪酸が生成される
水溶性食物繊維は腸内細菌により発酵され、酪酸・酢酸・プロピオン酸などの短鎖脂肪酸(SCFA)が生まれます。これらは腸粘膜のエネルギー源となり、腸の炎症を抑えてバリア機能を強化します※1。結果として、全身の炎症負荷が軽減され、肌トラブルの抑制に役立つと考えられています。
② SCFAが皮膚のバリアを強化する
Trompetteら(2022)は、発酵性食物繊維を摂取したマウスモデルで、皮膚のバリア機能が改善したことを報告しています※2。
酪酸が角化細胞の代謝を変化させ、角質層の構造タンパクや脂質合成を促進した結果、水分保持力が高まり、刺激に強い肌へ導くというメカニズムです。
③ 食物繊維と炎症マーカーの関係
ヒトを対象にした研究でも、食物繊維摂取量が多い人ほどCRP(炎症マーカー)が低いことが報告されています。
• Shivakotiら(2022):4,000人以上のコホートで、食物繊維摂取量とCRP値が逆相関することを示唆しています。※3
• Maら(2021):食物繊維が腸内細菌叢を介して炎症を抑制することを示唆しています※4。
炎症は肌荒れ・赤み・ニキビの根本的要因のひとつです。つまり、繊維の摂取は“肌の炎症管理”の土台にもなり得るわけです。
④ 創傷治癒(傷の治り)との関係
こちらは非常に興味深いですね。
動物実験では、可溶性食物繊維を与えた群で創傷治癒が早まったという報告もあります※5。炎症のコントロールやコラーゲン再構築を促進する作用が観察され、肌再生との関係性が注目されています。
3.食物繊維なら何でもOKというわけではない

食物繊維は種類や量によって作用が異なります。発酵性の高い繊維(イヌリンなど)を急に増やすと、腸内ガスや膨満感が強く出ることもあります。また、腸内細菌の構成によって反応は個人差が大きいことも知られています。自分の体調を観察しながら、少しずつ増やしていくのがポイントです。
4.実践編:日常に取り入れる「繊維×美肌ルーティン」

1日の目標摂取量は18〜20g。日本人の平均は約14gと、まだ足りていません。
今日からできる簡単な工夫を紹介します。
例)
• 朝食:オートミール+バナナ+ヨーグルト(チアシードをプラス)
• 昼食:豆類や根菜を使ったサラダ、全粒粉パン
• 夕食:きのこ・海藻・野菜たっぷりのスープ
• 間食:ナッツ、オートミールバー、フルーツ
え!意識高い食事じゃない?!と思われた方もいらっしゃると思います。ご自身でできる範囲のことからでかまいません。自分の好きな食物繊維から摂ってみて、体調の変化をみてみましょう。いろいろ試してみるのをおすすめします。
また、食物繊維を摂るときは、「水分もしっかり(1.5〜2L/日)」が基本になります。水がないと腸内で動きが鈍くなり、かえって便秘を招くこともあります。また、繊維は「増やす」よりも「バランスよく摂る」ことが大事。水溶性と不溶性を半々に意識して、さまざまな食材を組み合わせることが、美肌への近道です。
まとめ:肌管理の新しい視点
食物繊維は、単なる“整腸のための栄養素”ではなく、
肌の炎症を抑え、バリア機能を高める“内側からのスキンケア”とも言えます。
腸内環境を整えることで、サプリや点滴、外用スキンケアの効果も引き出しやすくなります。
肌管理を考えるときは、「何を塗るか」だけでなく、「何を食べ、どう腸を整えるか」にも目を向けてみてください。
食物繊維は、あなたの肌の“ベース”を支える縁の下の力持ち。毎日の食卓から、肌を育てる一歩を始めてみましょう。
参考文献)
※1:Trompette, A. et al. (2022). “Gut-derived short-chain fatty acids modulate skin barrier integrity by promoting keratinocyte metabolism and differentiation.”
※2:Gut-derived short-chain fatty acids modulate skin barrier integrity by promoting keratinocyte metabolism and differentiation.
※3:Intake and Sources of Dietary Fiber, Inflammation, and Cardiovascular Disease in Older US Adults.
※4:Dietary fiber intake, the gut microbiome, and chronic systemic inflammation in a cohort of adult men.
※5:Canesso, M. C. Campos et al. (2023). “Dietary Fiber Improves Skin Wound Healing and Scar Formation through the Metabolite-Sensing Receptor GPR43.”